映画「ブルーサーマル」の感想・評価。空はいいよね

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2022年3月4日よりアニメーション映画「ブルーサーマル」が上映されています。
月刊コミック@バンチ(新潮社)で作者 小沢かなによる「ブルーサーマル-青凪大学体育会航空部-」というタイトルで連載されていた漫画が原作になっています。
ブルーサーマルとは青空の下で発生する上昇気流のこと。
”つかまえたら幸せになれる風”

しかし、雲一つない空で目に見えない上昇気流を見つけるのは至難の業。
主人公 都留たまきを中心にグライダーを扱う航空部での生活と恋と青春?を描いた作品です。

「ブルーサーマル」お勧め度は★3.5です!

原作を未読なので準拠しているのか、オリジナル要素が入っているのか分かりませんが結構楽しんで観られました。

キャラクターは好き嫌いがあるかも知れませんが、こういったタッチ。私は結構好きです。
作画は綺麗だし何より空から見る雲海や地上を望む景色は美しい。
霧ヶ峰と美ヶ原、八ヶ岳。昔、美ヶ原にいったなぁ。(遠い目)

ストーリーは、マイナースポーツのグライダーを分かり易く描いたものとして興味を引いて観ることができました。
キャラクターの心の機微も描いてあって。
ちょっと気になる点があったのは後ほど書きました。

音楽も主題歌「Blue Thermal」、挿入歌「Beautiful Bird」は作詞/作曲 井上竜馬氏によるオリジナル曲。良かったですよ。

「ブルーサーマル」こんな方にお勧め

・アニメーション映画が好きな方
・明るい女子が主人公ってのが好きな方
・体育会系青春ドラマが好きな方
・原作「ブルーサーマル-青凪大学体育会航空部-」ファンの方
・グライダーや飛行機、空や空から見る地上を描いたものが好きな方
 雲海の様子など美しい!


グライダーや飛行の際の描写、空からの風景などかなり細かく忠実に再現しているようです。
航空部員の楽しそうな様子がいいですね。

私も大学時代色々と興味を持ったもんで、ちょこちょこと試してみました。
その中でパラグライダーってのもありました。
まあ、高所恐怖症気味なので私は行かなかったんですけど友達はチャレンジしてました。
ちょっと残念でしたけどね。

飛行機から眺める地上の風景は、ボーイングやエアバスに乗るたび少々心動かされます。
私が今回映画館に足を運んだのはそんな空の風景を味わいたかったからです。

スタッフ/キャスト

主人公:都留たまき/CV 堀田真由 今回声優でデビューの女優。連続TV小説「わろてんか」など
声優の仕事、上手でした!
倉持潤/CV 島崎信長 SAOのユージオ、「ましろのおと」の澤村、「ブラッククローバー」のユノ他多数 
空知大介/CV 榎木淳弥 「呪術廻戦」の虎杖、「はたらく細胞BLACK」の赤血球ほか多数。
その他の声優陣は豪華有名声優を起用。

監督:橘正紀
「攻殻機動隊S.A.C」演出、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」絵コンテ。
「東京マグニチュード8.0」で初監督。
最近だと「プリンセス・スリンシパル」TV版と劇場版の監督。
動きのある演出が得意とみた。
少々無理やりだけど、本ブログの「攻殻機動隊」記事へのリンクを貼っておきます。

脚本:高橋ナツコ
キャラデザ・総作監:谷野美穂 確かに「orenge」はキャラの雰囲気が似ている気がする。
美術:山子泰弘 緻密に描かれています。
確かに今のアニメの流れで、キャラクターはちゃんとキャラ立ちして、風景はとことん緻密にってのが京アニからの流れの気がします。(低予算アニメを除く)

ストーリー(超大まか)をネタバレしない程度に

長崎から大学入学を機に上京してきた少女 都留たまき(通称;つるたま)は大学生活に期待を膨らませる。
アクシデントでグライダーの羽を損傷させる羽目になり、弁償の為に「体育会航空部」に入部。
主将である倉持の操縦するグライダー(二人乗り)に初めて≪空≫に飛び立ったつるたまは一面に広がる空に魅了される。
同期や先輩たちと中を深めるつるたま。

他校との合同練習で姉の矢野ちづると再開する。(両親は離婚)かなり冷たい態度の姉。
強力なライバル羽鳥楓も現れる。
姉には拒否られ、周囲からのプレッシャーも感じる。
下をむいたたまきに

「自分らしく飛んで来い」

倉持の言葉で上を向くことができたつるたま。
新人戦では惜しくも優勝を逃すが「次は絶対勝つ!」と心に誓う。
つるたまは才能を開花させ、航空部にとってもかけがえのない存在になっていく。

しかし、突然倉持が姿を消した。航空部員の間に衝撃が走った……。

期間限定 本編冒頭11分6秒

最近、アニメ映画に多いですよね。

つるたまは天才なのか?

物心ついた時から本を読んでいる為なのか、中学生の頃から数限りなく映画を見てきた為なのか映画のストーリーは気になるところ。今回も少し気になりました。

今回は主人公 都留たまきの天才的な強さについて。
彼女は新人戦いきなり準優勝。そりゃ努力をしているんでしょうが他の新入生と比べてダントツの成績です。

スポーツ系に限らないけど物語には主人公の成長が欠かせません。
最初から上手くいく天才型もいますが、大体壁にぶち当たります。

しかし、それを本人の努力とか何かに目覚めてその壁を突き抜けていく。
そして勝利を勝ち取るのです。

最初、たまきは努力型の主人公だと思ったんですよね。
そんな感じのキャラだし。
基本的に天才型はとっつきにくい人が多いでしょ(偏見かな)。
流川とか黒子とか越前とか日向とか。
天才キャラは本人は才能に溢れているんだけど、性格的な問題だったりで周りと上手く馴染めなくてというパターンになるのが多い気がします。

たまきは小柄で天真爛漫。
周囲と溶け込むことが上手い。
才能がないとスポーツはやっていけないから才能はあるんだけど、むしろ周りの人から学んで本人の努力もあって隠れた才能を目覚めさせていく。
冒頭にたまきが現れた時からそんな感じのストーリーを勝手に思い浮かべていたのです。

だけど初めてのフライトから、絶対空間認識力を持っている描写があって倉持を驚かせる。
あんまり努力をしている描写がない。
あれっ? この娘天才的な感覚の持ち主なんだ!
そんな風に思った訳です。
にしては、これまでの描写に天才性を匂わせるシーンがないなぁと感じました。

まあ。明るく天真爛漫な都留たまきだから魅力的なんですけど。

天才型には天才性を匂わせる描写がないと唐突感を感じる?

私だけでしょうか? あくまでも個人的な感想ですが、
天才型は冒頭のどこかにその天才性を匂わせる描写がないと唐突に感じてしまう気がします。
テニプリとかハイキューとか、ユーリとかでも冒頭に天才性を描く描写があったと思います。
遺伝的な要素を描く場合もあります。
父親がプロのテニスプレイヤーだったとか、野球選手だったとか。

それがないんですよね。
例えば、たまきは高校の頃にバレーをしていました。(バレーだったよね)
空間認識力は凄いんだけど背が低くてどうしても限界を感じてしまったとか。
だけど、グライダーは多分体重が軽い方が良くて、それに加えてずば抜けている空間認識能力を持っていて、じつはたまきにピッタリのスポーツだった!とかね。
そんな描写があったら少なくとも私はなるほど……。ここにつながるんだなと納得したんですが。

もともと、たまきは努力型として描かれる予定だった?

どうも、もともと原作者の小沢かな氏はたまきを努力型として描くつもりだったようです。
だけど、マイナースポーツで努力しているところを描いても読者にささらないということで天才型になったとか。
編集の意見を聞いて良かったのか、悪かったのか。

難しいところですよね。最初のプロット?で決めた方向でいかないと少々無理が出てしまう気がする。
西住みほだって、抜けたところがあるけど、西住流家元の娘として育っていて、いざとなった時の判断力は抜群の天才性を発揮しますよね。背景がしっかりしているから何も違和感を感じさせないのです。

そう言えばマイナースポーツを題材にして、女子高生を主人公にしたアニメを思い出しました。
2020年10月にアニメ化された「いわかける」です。

スポーツクライミングを題材にした漫画原作のアニメで主人公は笠原好(かさはらこのみ)。
このみはあることがきっかけで花宮女子高校のクライミング部に入るのですが、ボルダリングに天才的な才能を発揮します。
それは彼女が幼少期からバレエの英才教育を受けていたこと。母親との亀裂から中学時代はゲームの世界に引き籠ったこと。それらによるバランス感覚と空間認識能力、パズルゲームで培ったルートを読み取る力によるものでした。

まあ、「いわかける」も少々無理があるなぁと思ったんですけどね。
中学時代に引き籠っていればかなりの筋力低下っていうか成長期に運動をしなければクライミングをするほどの筋力は無理じゃないの?とかね。
私の友人でやっている人がいましたが、指先だけでひっかける練習とかしてました。
こちらもアニメ化になりましたが4巻で完結しています。
でも一応天才性の理由付けはしていましたという例。

原作は5巻で完結

「ブルーサーマル」の続きがあるか気になるところですが原作は5巻で完結しています。
最後の方は割と急いでフラグを回収。唐突に終わった感があるようです。
(読んでいないので実際にどうなのか分かりませんが)

漫画は厳しい世界です。アンケートや読者数。発行部数で打ち切りが決められてしまう。
きっと作者はもっと描きたかったに違いない気がします。
マイナースポーツはやっぱり辛いのかな。

少々感情移入しているのは最近だと「まくむずび」(ヤングジャンプ)が5巻で唐突に終わってしまって悲しい思いをしたから。

マンガ大賞2020ノミネート作品が打ち切りですよ!
最終話ではえ!ってなったわい!
作者のコメントにもくやしさがにじみ出ていたし。

ともかく、映画「ブルーサーマル」で空から見た風景の美しさ、明るいストーリーの青春ものを劇場でご覧になるのもいいかと思います。

こちらに映画「ブルーサーマル」公式HPへのリンクを付けておきます。