映画「Last Night in Soho」上映中。観ての評価・感想。じわじわと来ているようですよ!
鬼才エドガー・ライトが描く、大都会ロンドンのソーホー地区を舞台に60年代と現代が交錯する「タイムリープ・サイコ・ホラー」。今、上映中の映画「Last Night in Soho」の紹介文にはそう書かれています。
イギリスでは有名な映画監督なのでしょうが、不勉強なことに私はこのエドガー・ライトという監督を知りませんでした。彼が監督を務めた作品で「ショーン・オブ・ザ・デッド」(04)、「ホットファズ」(07)はコメディ映画。「ベイビードライバー」(17)は音楽&カーアクション映画とのことで、U-NEXTにもありました。
今回は今までとは違うジャンルの映画。
何となく、タイムリープというキーワードと主演のトーマシン・マッケンジーに惹かれて公開初日に観たのですが私的には中々良かったですよ。
1960年代のイギリスって
舞台は1960年代とのことですが、正確には何年なんでしょうか?
映画を見た方は気づかれたと思いますが、エロイーズが最初(だったかな?)にタイムリープした時、丁度上映されていた映画の看板が映りました。「007/サンダーボール作戦」です。
私の父親がジェームスボンド、特にショーンコネリーが好きだった影響もあったのでしょうが私も007シリーズは大好きで一通り見てきました。
当然、古い作品も金曜ロードショーなどで上映されているので見てます。
「007/サンダーボール作戦」が上映されたのは1965年。
エロイーズがその特殊な能力で観る女性、サンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)が生きている年は1965年だと推測されます。
この時代、1960年代にエロイーズは憧れているのは彼女の部屋にあるポスターが「ティファニーで朝食を」のオードリー・ヘプバーンだったり、「スイート・チャリティー」のシャーリー・マクレーンだったりするのですぐに分かります。
(そう言えば、私も最初に作ったジグソーパズルは「風と共に去りぬ」の「ビビアン・リー」だったなぁ。
「風と共に去りぬ」なんて1939年の映画なんで本作品とは何の関係もないですけど)
話を戻して、気になったのは、エロイーズの持っているレコードプレーヤーです。
レコードプレーヤーに大して詳しい訳ではないのですが、最近音楽はもっぱらレコードで聞いているので多少興味があります。
一見、ANABAS ポータブルレコードプレーヤーに見えるのですが、きっとイギリスで固めていることを考えるとINON製品なんでしょうね。
もしかしたら「ION AUDIO レコードプレーヤー1965年製フォードマスタングデザイン」かも知れませんがもっとシンプルなデザインだった気もします。
ちゃんと見れば良かった。
そういったことが分からなくてもなんとなく雰囲気で60年代を描写しているのは分かる。
作中に流れている音楽も60年代で固めているようです。
映画の題名にもなっている「Last Night in Soho」、主人公の名前になっている「Eloise」他にも山の様に60年代の音楽が流れているようですが、正直、音楽に詳しくない私はほとんど分からず。
田舎の少女が古き良き時代に思いをはせる
エロイーズが古き良き時代に憧れているのはよく分かります。
中学生の頃や高校生やそのくらいの年代には今でない、ここでないどこかに憧れるというのは自分にもあった気がする。
もっとも私の場合、当時、大のSF好きであり、ファンタジー好き、推理小説好きだったのですが、専ら宇宙やファンタジー世界に憧れていた気がする。残念ながらファンタジー世界に行くことはできなくても宇宙には行けないことはない時代になりました。行ってどうする訳でもない、たぶん人生観が変わるってこともないんだと思う。
ガガーリンやアポロ11号の時代ならともかく、映画で再現されている映像はかなりリアルだと思うし。
それでも行って見たいんだよね。
といっても庶民の私にはかなりハードルが高いんだよなぁ。
なので、前澤氏が少し羨ましかったりする。
時が立てばSFアニメや映画の様に普通に宇宙に行ける時代もやってくるのかも知れませんが生きている内には実現できないだろうなぁ。
エロイーズも都会に憧れてロンドンに出たものの、周りの人とそりを合わせることができずに一人寮を出ることになりました。しかし、その部屋では以前住んでした女性がいて、エロイーズはその特殊能力で彼女(サンディ)とシンクロしていくのでした。
それは憧れの世界でした。しかし、彼女の考えていた単なる憧れの世界という訳ではなかったのです。
舞台に立つ権利は一部の男どもが握っておりその権利を得る為には嫌悪すべき代償が伴ったのです。
上映中映画「Last Night in Soho」のお勧め度は? ★3.5
ストーリーは面白かったです。
なかなか引き込まれるストーリーでした。
前半は少々退屈な感じもしましたが、見る人にとっては前半の方が良いって方もいます。
そして後半、謎解き?クライマックスに向けてストーリーは展開します。
キャストもエロイーズ役の「トーマシン・マッケンジー」は結構好みです。
(自分的に永遠の美少女ナタリー・ポートマンやウィノア・ライダーには及びませんが)
サンディ役の「アニャ・テイラー=ジョイ」も美人さんです。作中ではもっぱら人形の様な作ったような表情や仕草は10代の少女であるエロイーズから見たステージの世界で生きる女性のイメージを表現しているようです。
映像的にもとても綺麗ですし、分かり易かったと思います。
得てしてタイムリープものは現代と過去がごっちゃになりがちなんだけど区別がはっきりついていました。
では減点分は何かというと全体的にやっぱり少し地味な点。まあ、ハリウッドじゃないんだし普通なんですけど。
それに60年代に絞る必然性が今一つ私には分からなかったんですよね。
70年代じゃあダメなのか。きっと監督的には駄目なんでしょうね。
エドガー・ライト監督は60年代の音楽や映画に傾倒しているらしいので。
もしかしたら、女性が舞台に立つ、何かを得る為に男性がその権利を一方的に握っていたのが60年代だったのかも知れません。「ティファニーで朝食を」のヒロイン、ホリー役のヘップバーンも最初は「娼婦役は受けられませんわ」と断ったらしいですから。(実際には娼婦ではなく、「アメリカンゲイシャ」?らしいのですけど。舞妓Haaana!!!でもある通り芸を売るということ?)
まあ、そこはいいか。
それと、後半の展開にちょっと不満。僕が大事にするのはカタルシスなんで。
でなければ、後半の展開は「自分で解決すると決意して勇気をもって真実へ追及!」
スカッとする展開!
ってなってくれた方が好みかな。結局、きゃあきゃあなんだもんなぁ。
まあ、普通そうなるか。
少しネタバレ! 大きく影響はないかもですが、まだ見ていない方はこれ以降ご注意。
後半の解決パート、死んだはずのサンディを追いかけて、おっさんたちの亡霊っぽいのがたくさん現れては恐怖するエロイーズ。
なんでおっさんたちはエロイーズの目の前に次々現れるのか? サンディを追いかけてるのか?
エロイーズの前に現れて何かを訴えたいのか?
それを考えると真実が見えて来るように思えます。
だけど、エロイーズはおっさんたちが怖くて何も考えることができない。
まあ、そうでしょうね。普通はそうなると思います。私だってそうなると思う。
こんなの冷静に考えることができるのは、本当に勇気がある人か幽霊に鈍感な人か、見える子ちゃんくらいのもの。
だけど比較的冷静に見れる観客はもう真実が分かってしまう。
ナイト・シャマラン監督の「シックス・センス」はそのタイミングがすごく良かった。
わかった途端に衝撃とカタルシスがあって、ぞわわ~ってなったのを未だによく覚えているんですよね。
(もっとも、その衝撃が凄すぎてその後のナイト・シャマラン映画は身構えてみる様になってしまいました。「アンブレイカブル」も「サイン」もヒントを出している段階で落ちが読めてしまって本当の意味で楽しめなくなってしまった)
何が言いたいかと言うと、そんな驚きを与えてくれたら、文句なく★5だったのになぁ。
ってことでした。
パンフレットを少し紹介
内容的にはそんなに濃くはないです。
悪い言い方をすれば安っぽい。
本当に60年代の映画のパンフレットを目指したのかな。
昔はこんなのが多かったし。
でも以外に凝っているとも言えます。
上の写真を見ていただくと淵や真ん中の折り目が少し黄色味がかっているのが分かると思います。
これはわざと古さを表現しているものと解釈しています。
そう考えると凄く凝った造りをしているのかも知れません。分かりにくいけど。
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